WORKS | 織り機につどう

山梨県富士吉田市、織物産地として有名なこの地で最も差し迫った課題が機屋番匠(織り機の解体構築・メンテナンスを専門に行う機械工)の高齢化と後継者不足でした。
『織り機につどう』は事業継承の機会であり、富士吉田の織物産業に関わる人と仕事を紹介する企画展として開催されました。
この企画展でインスタレーション『織り機の記憶』を中心とした会場構成・製作を担当しました。

『織り機の分解展』

部屋の中心では織り機が実際に解体・組立される様子を会期中に来場者が観覧できるようになっています。
周囲には分解されたパーツと図面が役割ごとに展示され、織り機の構造を知ることができます。

『織り機につどう人々』

今はもう必要とされなくなったパーツを譲っていただきました。中には壊れてしまったものも。
これらに美しさを見出し、額装を行うことにより価値を再構築する試みを行いました。
60を超える額装されたパーツは会場やクラウドファンディングで購入できるようにしました。
いただいた費用は富士吉田の産業に還元されます。
周囲の壁面には富士吉田で働く人々と機屋の写真と映像、そして富士吉田に寄せられてきた言葉が並べられました。

『織り機の記憶』インスタレーション作品

通じ糸が織り機の上で通じ糸が作り出す接点の集合体-円-をモチーフとして表現しました。
このインスタレーションのテーマは繋がりや過去から現在、そしてこの先の未来までを示す織り機の記憶です。
壁に無数に配置された光は織り機につどう人々を表します。
通じ糸の上で明滅する光はその関係性の中で紡がれてきた果てしない時間を表しています。
今までにない、光と空間をつかった表現ができたと思っています。

キャプションより


それは輪
始まりも終わりもない
接点の集合体 輪廻 物理法則
収束 宇宙 糸を巻く
糸と光は互いに織り重なり
無数のレイヤーをつくる
過去 現在 そして、今ここにつながる
織り機の記憶を紡ぐ
カシャン カシャン
経糸と緯糸 単純な重なりが 1枚の布を生む
人は 生まれてから死ぬまで 布に囲まれて生きていく
はたを織る それはとてもシンプルで美しい行為
魅せられた人々が今
織り機につどう

Date: February 2020
Location: FUJIHIMURO
Direction: yosooinoniwa
Photographer/Movie: Akihiro Yamaguchi

こちらは、久米岬建築設計事務所による仕事です。

装いの庭のホームページ

織り機につどう | 久米岬建築設計事務所

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